下宿生活と地域活動

パールスティン家での下宿生活
前述のようにスタンフォードYMCAには約一週間ほど滞在し、その後CBS近くのパールスティン宅に下宿することにOkayが出たためさっそく移動しておちつくことにした。食事は朝、夕2食付で$210/月とかなり安くしてくれた。というのはノーマ(パールスティン婦人)はアメリカんフィールドサービス(AFS)の委員でもあり外国人留学生を引き受けるためのボランティアのような気持ちで家族の一員として受け入れてくれたからだった。これは私にとっても好都合で1人のアパートぐらしよりもたいくつしないしまた地域にとけ込んで行く上でもいろいろな人に合う機会が多くなる。また、これはやり方でもあると思う。かしてもらった部屋は12畳ぐらいの広さでバストイレ付。以前結婚してイギリスに行った長女の部屋だったそうできれいにかたづき厚いじゅうたんが敷いてある。この家は地方に比べれば小さい方だが日本の住宅と比べればはるかに広く階の5室,階下は客間とキッチン,テラスなどそれに地下室も広く大工仕事場、物おき+2部屋またボイラー室もある。彼らには子供が4人いるがすべて外国にいたり、大学の寮におり大学生の下2人の男の子はダニエルとジョッシで感謝祭やお正月には家に帰って来る。この一家はユダヤ人だったのでクリスマスパーティなどには参加をしているようである。ロサンゼルスはロスからヒッチハイクで家に帰って来るようなひげぼうぼうのたくましい感じの青年だがのんびり屋でマイペースで自分のことをやっていく感じがある。アメリカの若者にはめずらしく政治の話が好きで私模欲彼の議論にひっぱり込まれた。ジョッシは一見ひ弱な感じだがあらゆることにものすごく積極的なインテリタイプ、勉強もよくできて18才なのに大学の2年生になっている。アメリカの学生制度でテストの結果次第で若くても大学に進めるのだ。彼は将来演劇を志望でときどき芝居がかった口調でじょうだんまじりに話すがなかなかサマになっていてきれいな英語が耳にこころよい。しかしノーマにいわせると彼はエッグ・ヘディド(知識を俗に気どる風)なのだということだ。私の生活していた周囲には何となく演劇文学関係志望の知り合いが多かった。例えば下宿の隣のボブももとアクターで現在大工,近所づきあいは比較的よくしている家だったので話す機会が良くあった。ノーマン(シスター・パールスティン)はなかなか味があっておもしろく気楽につきあえる人だが一つ欠点がある。たいしたものではないが、なにしろ省エネルギー時代の権化とも云うべき節約家なのである。若い頃はあまり裕福でなく苦労したという話もたまに聞かされたが、どうもそれとは無関係でただのしょうぶんのようだ。電気をつけ放しにしておくと私のうしろから消して廻っていた。暖房もおさえめで家全体が他よりも温度が低いので友人が遊びに来るとびっくりして“フリーズィング”などという。今でもたいていのアメリカ人は冬期家全体がセントラルヒーティングで家の中はかなりあたたかく冬でも半袖でくらしている。夕食のときも私が良く食べるもので「昼は何を食べているのか」とか「なんでそんなに腹がへるのか」などといってよくからかわれた。もともと50代の夫婦が2人で生活していたのだから彼らの食事の量は少なかった。それで急に私が来てよく食べるものでおどろいたらしい。しかし食事代は出しているので遠慮することはない。ノーマンはニューヨーク0大学の管理部門に勤めており毎朝私と同じ時刻にマンハッタンのグランドセントラル駅行きの電車に乗る。朝食を彼と一緒にとることが多かったがノーマは10時頃から教会の仕事に
出かけるので起きて来ない。2人でトーストを作ったり、また時間のあるときはベーコンエッグを作って10分ぐらいで食べて急いで出かける。たまに車で送ってあげたこともあったが普段は25分かけて駅まで歩いて行く。そして帰りは出張のときなどをのぞき7時頃になることが多かった。そして3人そろったところで食事をする。しかし3人とも夕方以降のスケジュールがそれぞれあるため、週2~3日は各自バラバラに夕食をとることが多かった。日曜日などたまに昼間家に私が居るときにはなるべく家の雑用を手伝うようにしていた。向こうもただみたいな家賃だから当然というような感じだが直接たのみに来ることはないので、比較的楽そうな落葉集め(レイク)を進んで手伝うことにした。しかしこれが思いもよらぬ重労働で囲りは木が多く毎日毎日きりがなくおちて来る。たくさん集めるとくまででは動かないほど小山のようになる。シーズンの終わりの12月にはトラックが集めに来るのだがノーマンは毎年この時期にこれを20年以上もやっているといっていた。食事を作るのはノーマでかたずけはノーマン食器洗い機があるのでおさらをキッチンにかたずけるところまで私の役目にした。そうじ,せんたく,ベッド作りはノーマが全部してくれたがこれもなるべく手伝うようにした。また、だんろ用のマキ割り、これも2~3ケ割っているうちはおもしろいが20~30になると手にまめがだきてしまいやる気がなくなって来る。
ノーマは教会の事務の仕事をしていて日曜日でも仕事に行くことがある。たいへんなインテリで教育とか外国文化にも大きな興味を持っており、夕食後、英語の勉強をしようなどといって、ニューヨークタイムズを声を出して読まされた。そして私がつっかえると単語の意味をおしえてくれたり、発音をなおしてもらったり、ニュース全体の解説をしてもらったり。こっちよりもノーマが英語を教えることが好きらしく夕食後は新聞をもってやって来る。それに彼女のスペリングの記録力はものすごく正確で外国の作家の名前でも、経済の専門用語でもスラスラと答える。アメリカ人でもスペリングの不正確な人はたくさんいてこちらが聞きに行ったら一緒になって考え込んでしまう人もいる。このように勉強,生活の面、いろいろな意味でこの下宿に居たことはとても私にとって役に立つことが多くラッキーだったのではないかと思っている。

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