アメリカのテレビ番組を見ていてすぐに気が付くのは日本よりはるかに禁欲的な番組作りをしていることだ。とくにセックス,暴力,アルコールに関しては、宗教・教育団体のつきあげも激しいらしくテレビ放映でもきたない セリフは別の表現に吹きかえられていたり、カットされたり、また深夜放送 にまわされたりしている。日本では考えられない厳しさだ。しかし全般にアメリカのテレビ番組は楽しいものが多く三大ネットワークの激しい視聴率競争がユニークな番組を生むのかもしれない。また、もう一つアメリカの視聴者参加番組の活気のあることは全くうらやましいかぎりである。アメリカ人 は自分の意見をはつきり言ったり自己売り込み型の人間が多くスタジオの熱 気があり、日本のスタジオ番組のムードと全く異る。このように国民性の異 いを観察しようと思えばテレビ番組の中にいくらでも見つかる。アメリカテレビ界の視聴率競争は非常に激しく最近は三大ネットワークの人気(視聴率)が交わる異変が76年にあった。いままで長い間トップだったCBSが娯楽 番組部門でABCに抜かれABC,NBC,CBSの順になってしまった。たしかにABCの娯楽,スポーツ番組を見ていると良い出来の魅力のあるものが多く視聴率のトップはうなずけると思った。各番組の制作費のかけ方も多く雑誌の記事によると30分番組で20万ドル(4000万円)もかけているという。CM代は1分間に5万~15万ドル,これも視聴率しだいでどんどんはね上がって行くということだ。お金の話が出たついでだがクイズ番組についていうと賞品,賞金がものすごくて車,ダイアモンドお金なら1万ドル,3万ドルの賞金というのもあった。質の良さという点で感心する番組は30分の喜劇番組(とくにABC)とハリウッド制のフィルム映画番組だ。前者はお金はあまりかかっていないが役者の功さとよい本で成り立っているようだ。後者はもちろんお金をふんだんにかけた。伝統のハリウッド方式の魅力だろうと思う。日本も多いに学ぶべきところが多いと感じた。もう一つ感心した番組はトークショーである。私の好きだったものはNBC系のジョニー・カースンのトゥナイトショー,CBS系のダイナ・ショーであったが、これらは会話のおもしろさをじっくりと90分間にわたって毎日楽しませてくれる。歌のゲストあり、これらはパーソナリティの味とスタジオの活気がある聴衆でショーが盛り上がる。話の質もいつも一定のレベルを保っており日本にようにかたくなりすぎたり、かという落ちすぎたりはせずリラックスしながら会話を進めて行く。もし日本にもジョーニー・カースンのようなパーソナリティがいればすばらしいことだと思う。また公共放送的な局はPBSで行っておりセサミストリートやエレクトリック・カンパニーなどを放送している唯一の教育番組である。コマーシャルはなく企業,一般会員の寄付などで成り立っている。またケーブルテレビジョンは全米各大都市で見られユニークな番組を流している。例えば、アカデミー賞をとったばかりの映画,セックス度の上ったもの、またニュースばかり流している局もあった。一方アメリカのニュース番組は日本よりも逆にショー的な要素が多く楽しみながらリラックスして見られる。これはニュースキャスターの人気で視聴率が決まるようなところがあり、ウォーター・クローンカイトの出ているCBSがニュースの視聴率は最高である。雑誌のニューヨーカーにNHKの磯村氏のことを日本のウォーター・クローンカイトと紹介していたことがあった。またABCのバーバラ・ウォータースは1年間の契約金が100万ドル(2億円)という高額でNBCのトゥディショーから引き抜かれ美人ニュースキャスターとして人気がある。アメリカのニュースキャスターはとくにルックスが物をいう傾向があり、ハンサムということがキャスターの一つの条件になりつつある。しんし2人とも大物とのインタビューは得意で大統領にもひけをとらない押しの強さがある。バーバラのインタビューもおだやかだがかんじんな質問はズバリと聞くので人気がある。中東和平のときはイスラエルに飛んで現地からのリポートをしたり、キッシンジャーニインタビューをしていた。他の現場からのリポートも話しかけるような感じのものは見て いてたのしい。
アメリカのテレビ番組

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